業務用エアコンは固定資産？耐用年数と減価償却を詳しく解説

業務用エアコンは、オフィスや店舗、工場などの設備として欠かせない機器ですが、会計や税務処理の際に「固定資産」としてどのように扱うべきかを正しく理解することが重要です。特に、耐用年数や減価償却の処理を適切に行うことで、資産管理や節税対策に役立ちます。

本記事では、業務用エアコンの固定資産としての分類、国税庁が定める耐用年数、減価償却の方法について、詳しく解説します。さらに、長く使用するためのメンテナンス方法や、買い替えのタイミングについても紹介します。

業務用エアコンは固定資産に分類されるのか？

固定資産とは

固定資産とは、企業が長期間にわたって使用する財産のことで、会計上「有形固定資産」として計上されます。一般的に以下の条件を満たすものが固定資産に該当します。

使用期間が1年以上であること
取得価額が一定額以上（法人：10万円以上、個人事業主：30万円以上）であること

業務用エアコンの固定資産としての扱い

業務用エアコンは、建物に付属する設備として扱われ、固定資産の中でも「建物付属設備（機械及び装置）」に分類されます。

設備の種類	固定資産の分類	耐用年数
業務用エアコン（天井埋込型・床置き型など）	建物付属設備（機械及び装置）	15年
家庭用エアコン（業務利用）	建物付属設備（機械及び装置）	6年

このように、業務用エアコンは固定資産として計上し、15年間の耐用年数に基づいて減価償却を行う必要があります。

業務用エアコンの耐用年数とは

国税庁が定める法定耐用年数

国税庁の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」では、業務用エアコンの耐用年数は15年と定められています。一方、家庭用エアコンを業務用として使用する場合は6年となります。

設備の種類	法定耐用年数
業務用エアコン	15年
家庭用エアコン（業務利用）	6年

ただし、これは税務上の計算基準であり、実際の使用可能年数とは異なります。

実際の使用可能年数

業務用エアコンの耐用年数は、使用環境やメンテナンス状況によって変わります。

設備の種類	実際の使用可能年数
ビル用マルチエアコン	10〜20年
店舗・オフィス用エアコン	8〜15年
飲食店用エアコン	7〜12年

特に、飲食店や工場では油やホコリが多いため、寿命が短くなる傾向があります。一方で、オフィスなどの環境では、15年以上使用できるケースも少なくありません。

減価償却の方法

減価償却とは

減価償却とは、固定資産の取得費用を耐用年数に応じて毎年少しずつ経費として計上する会計処理のことです。業務用エアコンの減価償却には、定額法と定率法の2種類の方法があります。

定額法と定率法の違い

減価償却方法	計算方法	特徴
定額法	取得価額 ÷ 耐用年数	毎年一定額を償却
定率法	残存価額に一定の率をかける	初年度の償却額が大きく、年々減少

定額法はシンプルで管理しやすいため、多くの企業が採用しています。一方、定率法は初年度に多く償却できるため、早期に節税効果を得たい場合に有利です。

減価償却の計算例

業務用エアコンを300万円で購入した場合（耐用年数15年）

定額法の場合

300万円 ÷ 15年 = 毎年20万円 を経費として計上

定率法の場合（償却率 0.118）

初年度の償却額
300万円 × 0.118 = 35万4,000円

2年目以降の償却額
（300万円 – 35万4,000円）× 0.118 = 31万2,872円

耐用年数を延ばすためのメンテナンス

業務用エアコンの耐用年数を最大限活用するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。

1. フィルター清掃

オフィス・店舗 → 月1回
工場・飲食店 → 2週間に1回

2. 熱交換器の洗浄

年1回、専門業者による清掃が推奨

3. 冷媒ガスの点検

3〜5年に1回の点検

4. ファン・モーターの点検

異音や振動が発生したら交換を検討

5. 使用環境の改善

室外機の周囲に障害物を置かない
吸気口をふさがない

業務用エアコンの買い替えタイミング

以下の症状が出たら、買い替えを検討するタイミングです。

症状	対応策
冷暖房の効きが悪い	修理または買い替え
異音がする	部品交換または買い替え
電気代が急増	省エネ機種への更新を検討

まとめ

業務用エアコンは固定資産として「建物付属設備」に分類され、法定耐用年数は15年とされています。減価償却には定額法と定率法があり、適切な方法を選択することが重要です。

耐用年数を超えても、メンテナンス次第で長期間使用可能
節税対策として減価償却を適切に行うことが重要
電気代や修理費が増加したら買い替えを検討

適切な管理を行い、業務用エアコンを長く活用しましょう。