業務用エアコンの中でも床置き型は、設置が簡単でパワフルな冷暖房能力を持ち、工場や大型オフィス、店舗などで広く使われています。しかし、エアコンは長期間使用する設備のため、耐用年数や適切なメンテナンスを理解することが重要です。
本記事では、床置き型業務用エアコンの耐用年数、国税庁の定める法定耐用年数、実際の使用可能年数を詳しく解説し、長く使うためのポイントについてもご紹介します。
床置き型業務用エアコンの特徴
床置き型とは
床置き型エアコンは、床に直接設置するタイプの業務用エアコンです。天井吊り型や壁掛け型と異なり、天井のスペースを必要としないため、設置が容易でメンテナンスもしやすいのが特徴です。
床置き型の主な用途
- 工場や倉庫:天井が高く、エアコンの風を直接当てたい場合
- オフィスや店舗:空間の大きな場所でも効率よく冷暖房できる
- 飲食店や商業施設:天井設置が難しい場合の代替手段
このように、広いスペースを効率よく冷暖房できるのが、床置き型の大きなメリットです。
床置き型業務用エアコンの耐用年数
国税庁が定める法定耐用年数
国税庁の「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によると、業務用エアコンは以下のように分類されます。
設備の種類 | 耐用年数 | 分類 |
---|---|---|
業務用エアコン(床置き型含む) | 15年 | 建物付属設備(機械及び装置) |
家庭用エアコン(業務利用) | 6年 | 建物付属設備(機械及び装置) |
床置き型も一般的な業務用エアコンと同様に、耐用年数は15年とされています。
この耐用年数は、税務上の減価償却計算に使用されるもので、実際の使用可能年数とは異なるため注意が必要です。
実際の使用可能年数
実際にどれくらいの期間使用できるのかは、使用環境やメンテナンスの頻度によって変わります。以下の表は、一般的な使用環境での目安です。
設備の種類 | 実際の使用可能年数 |
---|---|
床置き型業務用エアコン(工場・倉庫) | 10〜20年 |
床置き型業務用エアコン(オフィス・店舗) | 8〜15年 |
床置き型業務用エアコン(飲食店) | 7〜12年 |
特に、工場や倉庫では長期間の使用が可能ですが、油や煙を扱う飲食店ではエアコンの内部汚れが進みやすく、寿命が短くなる傾向があります。
また、メーカーの保証期間は通常5〜7年程度であることが多いため、長く使用するには定期的なメンテナンスが不可欠です。
耐用年数を延ばすためのメンテナンス方法
床置き型業務用エアコンを長く使用するためには、適切なメンテナンスが不可欠です。以下のポイントを押さえて、エアコンの寿命を延ばしましょう。
1. 定期的なフィルター清掃
フィルターの汚れが溜まると、冷暖房の効率が低下し、エアコン本体に負担がかかります。
- オフィス・店舗の場合 → 月に1回程度の清掃
- 工場・飲食店の場合 → 2週間に1回の清掃が推奨
2. 熱交換器の洗浄
熱交換器が汚れると、エアコンの効率が落ち、電気代が増加します。
- 年に1回は専門業者による洗浄を実施する
特に飲食店では、油汚れが蓄積しやすいため、早めの洗浄が必要です。
3. 冷媒ガスの点検
冷媒ガスが不足すると、エアコンの冷房・暖房効果が大幅に低下します。
- 3〜5年に1回、専門業者によるガス点検を実施する
4. ファン・モーターの点検
ファンやモーターが劣化すると、エアコンが異音を発し、最悪の場合、運転停止につながります。
- 10年以上使用している場合は、交換を検討する
5. 使用環境の改善
エアコンの周囲にホコリや障害物が多いと、内部に汚れが溜まりやすくなり、寿命が短くなります。
- 吸気口をふさがない
- 室外機の周囲に障害物を置かない
このような対策を行うことで、エアコンの性能を長期間維持できます。
床置き型業務用エアコンの買い替えタイミング
長期間使用したエアコンは、次のような症状が出ると買い替えを検討するサインです。
症状 | 考えられる原因 | 対応策 |
---|---|---|
冷暖房の効きが悪い | 熱交換器の劣化、ガス漏れ | 点検・修理または買い替え |
異音がする | ファンやモーターの故障 | 部品交換または買い替え |
電気代が急増 | 効率低下による消費電力増加 | エアコンの更新を検討 |
エアコンの修理費用が増えてきた場合、新しい機種に買い替えたほうがランニングコストを抑えられることもあります。
まとめ
床置き型業務用エアコンの法定耐用年数は15年ですが、実際の使用年数は10〜20年程度とされています。特に、使用環境やメンテナンス状況によって寿命が変わるため、適切な管理が重要です。
- フィルター清掃や熱交換器の洗浄を定期的に行う
- 冷媒ガスやファン・モーターの点検を実施する
- 電気代が増加したら買い替えを検討する
適切なメンテナンスを行い、業務用エアコンを長く快適に使用できるようにしましょう。